父親の身体に住みついた癌の病

今から27年前実家のある街に住んでいる長兄から、ある日電話がありました。

父親が胆のう癌にかかり入院したとのこと。わたしは、びっくりしました。

というのも、この連絡の数か月前に新聞記事で農薬と胆のう癌の因果関係について詳しく記載されていたからです。

確か少なくとも因果関係は多少なりともあるという記事だったように記憶しています。

わたしは、早速、父親が入院している病院へお見舞いに行きました。

フコイダンというもずくの成分が癌に良いというので、もずくのサプリメントを買って持って行きました。

父に飲ませて上げようと思ったからです。

病室に入ると父は思ったより元気で顔色も健康色そのもので私は、ひと安心しました。

しばらく近況報告も兼ねて父と話をしていたのですが、わたし達兄弟は主治医から話があると主治医の部屋に集められました。

話の内容は、「父は胆のう癌を発症し、もう手遅れだと。数か月の命だとも。

会わせたい人がいれば今のうちに。」とはっきりと宣告されました。

その後、自宅に帰って来ていた年末のある早朝、父の夢を見ました。

ひとりで病室で淋しそうに横たわっている父の姿。

そんな父を見ていると無性に父に会いたくなってきました。

子供の頃よく叱られた思い出が、走馬灯のように頭の中を駆け巡ります。

気が付くとわたしは、汽車に乗っていました。

病室に着くとすでに兄弟達は来ていました。

父は私が着くのを待っていたかのように、まもなく息を引き取りました。

癌という病魔は父から命を奪っていった憎い悪魔。

もし生きていたら今年99歳の白寿。

たったひとりの父のご冥福を改めて祈ります。